自動車の運転手から見た歩行者への意識
歩行者が交通に関しての教育はそれほど多くはありません。とくに小さな子供はルールを理解するのが難しいものです。自動車の運転手は、歩行者に対してどのような意識を持つべきなのか考えてみましょう。
1. 自動車から見落とされる歩行者に潜む危険
道路は全て見通しの良いところだけではありません。一方、自動車の運転手も体調不良や寝不足によって、常時健全な状況で運転しているとは限りません。見通しの悪い交差点では歩行者の存在は見えづらく、小さな子供がボールを追いかけて飛び出すこともあります。自動車の運転手が気づいて反応するためには、思考が健全な状態で平均1秒ほど、自動車を完全に停止させるには、約1.5秒の時間がかかるといわれています。自動車の走行時速によりますが、自動車を完全に停止させるまでに時速40kmで走行していた場合、22mの距離が必要といわれています。まさに車は急に止まれないのです。
また、止まっている車の後ろを何気なく歩いている人は少なくありません。自動車の運転手は必ず後ろを確認してから後退するとも限りません。歩行者が見落とされたままの状況で、突然車が後退してくる危険性もあるものです。歩行者は自動車の運転手を信頼するのではなく、いつでも見落とされる存在と認識して交通社会にかかわる必要があります。
2. 自動車と歩行者の意識の相違による危険
車の運転者は様々な危険に対する予測を立てながら、対処行動をとれるように安全運転を心掛けています。しかし、そんな運転者でも見落としはあるものです。例えば、車同士がすれ違うのがやっとという狭い道路で、歩行者の側方を通過する場合の車の運転者、歩行者の双方の意識についてです。車の運転者は、歩行者が急に車道に出てくることはないだろうと予測します。一方、歩行者は、自分が車道に踏み込んでも車は何らかの対処をしてくれるだろうと予測します。もし、車の運転者が寝不足で思考が停滞していたら、歩行者の追い込みとは裏腹に、車の運転者の歩行者への意識欠如により接触事故などの重大事故につながることになります。
歩行者は、運転者が何とかしてくれるとは思い込まず、車の運転者は危険な行動を取る可能性もある認識のもと、車の動きに対して常に意識を向けておくことが求められます。
3. 自動車の死角と危険性
車の運転席からはもちろん、車の真横にある縁石など見ることができないところがあります。そのため、運転者はそのような死角を確認するためにミラーなどを活用したり、目視確認したりすることでできる限り見落としのないように注意をして運転をしているはずです。
しかし、どれだけ努力をしても確認出来ない死角もあります。したがって、運転者は車を動かす前には車両周辺の死角を一巡し、死角に人や物がないかを確認してから運転する必要があります。一方歩行者にとっては運転席から見落とされる場所に入り込まないことが交通事故への防止策と認識し行動すべきでしょう。

